旧JR江差線を引き継いだ第三セクター・道南いさりび鉄道(函館、小上一郎社長)も26日、開業1周年を迎えた。1周年イベントがJR函館駅ホームであり、モスグリーンの新塗色車両の試乗会のほか、4月から導入するアテンダントスタッフ2人も紹介された。
式では、小上社長が「きょうから2年目が始まる。一人でも利用者を増やし、付加価値の高い鉄道を目指し、地域活性化に取り組む」とあいさつ。初代社長の荒川裕生道副知事が「いさりび鉄道の発展には地域の協力が欠かせない」と一層の飛躍を祈った。
団体客らに沿線の見どころを紹介するアテンダントスタッフの勝田恵子さん、土井みずきさんがそれぞれ抱負を話した。高梨潤函館駅長、荒川副知事、小上社長の出発合図により函館山のシルエットを表現した新色車両が木古内に向かって出発した。
いさりび鉄道は北海道新幹線の開業に伴い、JR北海道から経営分離された江差線(五稜郭―木古内間37・8キロ)の運行を引き継いだ。生活路線の維持はもちろん、日本旅行が主催する観光列車「ながまれ海峡号」は、鉄旅オブザイヤー2016でグランプリを獲得するなど、観光客からも高い評価を得ている。しかし、累積赤字は開業後10年で23億円に達し、道と沿線自治体が負担する。本年度上期分の赤字額は7630万円となり、厳しい経営が続いている。(山崎大和)