函館市は、大規模災害発生時など、交通手段が途絶えて帰宅できなくなった観光客らに一時的な滞在先を提供する「災害時観光客サポートステーション」の制度概要を固めた。市内のホテル・旅館などの宿泊施設と協定を締結し、対象施設に指定。ロビーや大広間といったスペースに滞在してもらい、食料や入浴、通信手段を提供してもらう。
北海道新幹線開業効果もあって、国内外から函館を訪れる観光客の増加している中、万が一の災害発生時にも市内に多くの観光客らが滞在していることが想定され、交通手段が寸断された場合は、復旧まで、市内に滞在することが余儀なくされる。
市は、災害対策本部が設置され、全市的に被害を受けているような大規模な災害を想定。サポートステーションとして、市と協定を結んだホテルや旅館の既存機能を活用し、必要に応じて市が依頼して、受け入れが可能な施設に開設してもらう。
施設側は、避難者にロビーや大広間などのスペースに滞在してもらい、食料、入浴、通信手段、外国人客への多言語対応による支援、各種情報の提供をしてもらう。一時的な支援として、交通手段が確保されるまでの間の3日程度の滞在を想定する。
また、市は施設側から滞在者の名簿などの情報を提供してもらい、旅行代理店や駐日公館との連絡共有するなど、支援を行う。
締結先にはこうした支援を受けることができる施設であることを外国人客にも分かりやすいように多言語対応のロゴを配布、掲示してもらう。
市は函館湯の川温泉旅館協同組合や函館ホテル旅館協同組合に制度概要を説明するなど、協議を進めている。市観光部観光企画課は「既存のホテルや旅館の機能を活用した中で支援施設は全市域にあることが望ましいと考えている。協定の締結に向けて協議を進めていく」としている。(今井正一)