今季の道南スルメイカ漁(漁期は1月末まで)が終了し、函館市水産物地方卸売市場での生鮮取扱量(昨年6月1日~今年1月10日)が前年比35%減の1493トンとなり、過去10年で最低の水準となることが分かった。太平洋側の不漁が目立ち、2年続けて最低を更新した。
市農林水産部によると、1月は水揚げがなく、漁は昨年12月末に事実上終わった。本年度の取扱量は2015年度実績(2315トン)を下回り、05年度以降で最低を更新。一方、平均単価は1キロ779円となり、過去10年では15年度実績(411円)を上回る空前の高値を記録した。同部は「壊滅的な不漁の年だった」と振り返る。
月別にみると、前年の数量を上回ったのは6月の179トン(前年171トン)のみで、年間を通じて漁獲が伸びなかった。特に12月はしけが多かったり、漁に出ても空振りに終わるなどして、わずか33トンの水揚げにとどまった。
函館市漁協(瀧川久市組合長)は「水揚げは少なかったが、堅調な単価高に支えられた。しかし、十分な補てんができたかと言えばそうではない」とする。同漁協はスルメイカとコンブが主力だけに、スルメイカの減少は取扱高に与える打撃も大きい。渡部保光専務理事は「近頃の原油価格高騰に伴い、燃油代がじわじわと上昇を続けており、来季の漁が始まる6月ごろどうなっているか心配だ」と懸念を示す。
道総研函館水試(寺井稔場長)の澤村正幸研究主査は「今季は釧路や羅臼でも捕れておらず、太平洋全体の資源量が少なかったことが不漁の要因と考えられる。近年は資源量がある程度あって、函館近海での漁場形成がうまくいかない年が続いていたが、今季は不漁の原因が異なる。来季も同じことが起きないか注意が必要」と話している。(山崎大和)