今季の道南スルメイカ漁が始まり、函館市の函館漁港で3日、初水揚げがあった。市水産物地方卸売市場でいけすイカ860キロ(昨年891キロ)の初競りを行い、最高価格で1キロあたり3800円(同2100円)で落札された。価格は新型コロナウイルス禍前には及ばないが、観光客数の回復を受け、まずまずの値がついた。
1日の解禁初日は悪天候で出漁を見合わせ、2日に函館から小型イカ釣り漁船16隻が出漁。このうち15隻が市場に出荷した。午前5時すぎ、船内のいけすからイカをタモ網ですくい上げると、イカは勢い良く水を吐き出し、体を伸び縮みさせた。この日はイカ全体で1トン(同1・2トン)が水揚げされた。
漁師の田原正明さん(63)は「量は例年並み。青森沖の漁場はイカがそれほどいる感じではなく、期待が持てない」、若松淳一さん(65)は「魚体サイズは大きいものが混ざっているが、イカの魚群が薄い」と話した。
函館魚市場によると、胴長は18センチ、重さは80グラムで大ぶり。同社の平松伸孝取締役部長(59)は「近年不漁が続き、高値安定で消費者が食べづらくなっている。今季こそ豊漁になって安価で食べてもらえるようになれば」と期待を込めた。
イカは早速、函館のスーパーや鮮魚店に並んだ。はこだて自由市場(新川町)のイカ専門店「富田鮮魚店」は、いけすイカ40キロを仕入れた。店頭であめ色に輝くイカの初物を買い求める客が目立った。富田和子社長(73)は「量は昨年よりやや少なめ。サイズが大きいので、刺し身に切るのが楽で、幸先の良いスタート。このまま続いてほしい」と笑顔を見せた。
函館では、夏から秋にかけてイカ漁の最盛期を迎えるが、近年は記録的に漁獲量が低迷している。漁期は来年1月末まで。(山崎大和)