函館市が函館港若松埠頭(ふとう)で整備を進めてきた「函館クルーズターミナル」が完成し、1日に関係者を招き記念式典を開いた。CIQ(出入国管理、検疫)機能を備えた道内初の施設で、今後は外国からのクルーズ船受け入れがスムーズになることが期待される。工藤市長は「コロナ収束後には年間70隻以上のクルーズ船の入港を目指したい」と意欲を見せている。
市は、国が進める函館港若松埠頭の泊地しゅんせつ整備事業により、今後12万トン級のクルーズ船の入港が可能となることを見据え、約7億9000万円をかけて同ターミナルの建設を進めてきた。さらに来年3月までに観光バス駐車場とタクシープールをなど整備する。周辺地域を含めた総工費は約14億円。
同ターミナルは鉄骨造地上1階建て、延べ床面積1234平方メートルで、出入国用の手続きカウンター20カ所とともに、税関検査場と検疫検査場を備える。クルーズ船からは屋根付きの通路で出入り可能。このほか、ガラス張りの窓から函館山を臨むことができる観光案内所も設置する。
函館港へのクルーズ船入港数は2019年度に道内最多の47回を記録し、20年は50回が予定されていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で全てキャンセルになり、21年度も1回のみだった。今年度は9月1日現在6回の入港があるが、いずれも国内船で海外船の入港のめどは立っていない。
完成式典は、これまでクルーズ船入港時におもてなしの演奏を披露してきた遺愛女子高校吹奏楽局のメンバーによる記念演奏で幕開け。工藤市長は式辞で「クルーズ船により国内外から多くの観光客が訪れることは、函館市のみならず道南の地域振興にも大きなプラスが期待される。ターミナル完成により入国審査がスムーズになることを積極的にPRして、今後のクルーズ船誘致につなげていきたい」と語った。この後同ターミナル正面入り口前で、関係者によるテープカットが行われた。
同ターミナルは23日に入港を予定している日本クルーズ客船所有「ぱしふぃっくびいなす」(2万6594トン)が、観光案内所として初めて利用する見通し。(小川俊之)