函館市は2日、本年度上期(4~9月)の観光客の入り込み数(推計値)を発表した。総数は約321万人で、前年同期比約4万8000人(1・5%)の増加。函館アリーナ開業(8月)効果や好調な訪日外国人客が後押しした。外国人宿泊者数も上期として過去最高の約18万人となり、年間40万人台が現実的な数値となった。
入り込み客数は、交通機関別の利用客数などを基に推計している。市観光部は「北陸新幹線開業などで、北陸や関西圏に向かう傾向があった」とする一方で、市内ではGLAYのこけら落としライブ、全国中学校柔道大会などが行われた函館アリーナの開業、外国人観光客の入り込みが好調に推移したことなどが増加につながったと分析する。下期(10~3月)が前年度並みの約167万人で推移すれば、過去10年では最多となる年間490万人台も視野に入る。
交通機関別では、航空路線が前年同期比で7・3%増の約41万人。2社が乗り入れる台湾線に加え、今年就航した中国の天津、北京線の国際線が好調で、国内線の利用も堅調に推移した。国内線を利用して訪れる外国人客も増加傾向にあるという。船舶は前年と比較し、クルーズ船の寄港数が減少したため、11・1%減となった。JRは約69万人でほぼ横ばいとなった。
また、321万人のうち、204万人が道外客で、116万人が道内客。宿泊客は198万人、日帰り客は122万人だった。道外客、宿泊客の比率が増加した。
一方、市内主要宿泊施設への聞き取りでまとめている訪日外国人宿泊客数は、前年同期比で4万3345人(30・9%)増加の18万3818人。国・地域別では、台湾が同6530人増の10万7580人で最も多く、次いで中国が同2万1338人増の3万4466人。以下香港8448人、韓国7930人、シンガポール5772人、タイ5454人などで、いずれも前年同期を上回った。
外国人宿泊客数の過去最高は、14年度の約34万6000人(上期14万人、下期20万人)。近年、冬の北海道人気に加えて、「春節」(2月)前後に中華圏の訪日客が急増する傾向が続いている。今月8日には中国東方航空、来年1月下旬から北京首都航空がそれぞれ函館と杭州を結ぶ定期便開設を予定し、中国本土からはさらなる入り込み増加が期待される。市観光企画課の本吉孝年課長は「伸び率を考えると、45万人も期待できる」と述べた。
(今井正一)