函館市議会第3回定例会は15日、一般質問を続行し6氏が登壇した。北海道新幹線の札幌延伸に伴いJR北海道から経営分離される函館線(函館―小樽間)について、柏弘樹企画部長は、道が実施した収支予測調査の内容を公表。函館―長万部間を全線第三セクター鉄道とした場合、初期投資に317億円、開業後30年の累計で944億円の赤字。全線バス転換した場合は初期投資に37億円、同130億円の赤字。函館―新函館北斗間を第三セクター鉄道とし、残りの区間をバス転換した場合は初期投資161億円、同565億円の赤字になることを示した。
福島恭二氏(民主・市民ネット)の質問に答えた。
柏部長は、いずれの交通モードでも多額の経費が見込まれ各自治体の負担額が大きくなる状況が想定されるとする一方、「札幌延伸効果により期待される観光需要の増加や、道南いさりび鉄道が実施した運賃値上げなどによる旅客運輸収入の増加策が見込まれていない。さらに土地、建物などのJR譲渡遺産のほか、大規模補修費用などの詳細も明確になっていないので、今後は調査結果の精査を進めていく必要がある」とした。
また、五稜郭―長万部間の鉄道貨物路線の重要性について「我が国の食糧基地である北海道と本州を結ぶ物流の大動脈として非常に大きな役割を果たしている。並行在来線の協議で一部旅客が廃止することになれば、その区間の鉄路をどこが所有するかなど、北海道全体の物流のあり方を見直す必要がある。また、JR貨物からの線路使用料が収入の大部分を占める道南いさりび鉄道の経営に大きな影響を及ぼすことが想定される」と危機感を示した。(小川俊之)