【札幌】北海道新幹線の札幌延伸が予定していた2030年度末開業が困難となったことを受け、建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構の藤田耕三理事長が20日、道庁を訪問し、鈴木直道知事と会談した。知事は改めて遺憾の意を示すとともに、一日も早く開業時期の見通しを示すよう要望した。
機構側は5月29日に開かれた沿線自治体首長らとの関係者会議で、新たな開業時期の目標設定に関して「具体的な時期を示すことは困難」と報告。一部のトンネル工事が地質不良により、当初計画から最大4年程度遅れていることなどを説明した。
理事長はこの日の会談で、国土交通省が設置する新函館北斗―札幌間の整備に関する有識者会議で工程短縮に関する議論に対応するとしたほか、建設工事に関し、今後の地質状況を明らかにするためのボーリング調査を行っているとし「検討の促進に資するよう最大限取り組みたい」と述べた。
これに対し、知事は「札幌延伸は国の一大プロジェクトであり、道民の悲願。遺憾だと言わざるを得ない」と改めて言及。工事の進捗(しんちょく)状況に関する情報共有が重要との認識を示すとともに、「開業と連動したまちづくりが動いている中で、見通しがないと今後の対応も方向性が決められない。見通しを導き出す過程も可視化していくことがポイントになる」と強調した。(千葉卓陽、鳥越裕子)