北海道国際交流センター(HIF)主催の新春・国際情勢講演会が3日、五島軒本店で開かれた。SDGパートナーズ(東京)の田瀬和夫代表を講師に招き、「SDGs(持続可能な開発目標)の視点から考える人間の安全保障」について理解を深めた。
田瀬代表は1992年外務省に入省。これまでに国連政策、人権人道、人間の安全保障などに携わり、2004年から14年まで、国際連合人道問題調整部人間の安全保障ユニット課長などを担当してきた。
田瀬さんは冒頭、「1989年の冷戦崩壊後、『国家が健全であれば国民は守られる』という伝統的主権概念は崩壊した」と強調。95年にルワンダで起きた大虐殺で、カナダが人道的介入として国連憲章を越えて軍事行動の必要性を訴えたことで、日本とカナダそれぞれが唱える「人間の安全保障」が対立したと説明した。
またSDGsについて、「人類の生存戦略の一つの到達点」とし、1969年に米国が人類を月へと送り出したアポロ計画に触れながら、「将来の理想の姿を想像し、そこから逆算して今必要なイノベーションを起こしていくことが重要だ」と述べた。(野口賢清)