変わらぬ味で愛され続ける
焼いてもおいしい餅菓子
谷地頭電停そばの「市中屋」は、85年に渡りこの地に根を張る〝餅屋〟。石川県能登半島出身の初代・市中安太郎さんが函館に移り住み、青柳町に構えた店が始まりで、函館大火の被害を受け、1935年に谷地頭町へ移転。今に続く店舗はそこから増改築を重ねたもので、創業年はさらにさかのぼる。
白あんとしょう油を合わせる独自のタレの「しょうゆだんご」や1日18個限定の「黒糖むしパン」…。創業者のひ孫で4代目に当たる市中貴浩さんは、その日の気候や材料の状態に合わせて、感覚を頼りに製法の微妙な調整を重ねることで、代々受け継ぐ味を守ってきた。中でも型を使わずぷっくりとした形で硬めに仕上げる「べこもち」や餅のコシの強さが際立つ「豆大福」は、餅米100%で作るからこそ、「焼いて食べても最高ですよ」と客によくすすめるという。「昔から変わらない商品だから、この味が好きな人がまた来てくれる。そのまんまがいいんです」。ここに来れば懐かしい味がいつも待っている。
(ハコラク 2020年12月号掲載)
市中屋
函館市谷地頭町26‐11
☎0138‐23‐3027
(注文数が多い場合は事前予約を)
9:00~17:00
火曜定休