伝統的な木造建築様式を今に伝える函館最古の寺
函館に現存する最古の曹洞宗の寺「髙龍寺」は松前町の法源寺4世・盤室芳龍住職が、1633年に亀田村(現・亀田町)に堂宇を立てたのが始まり。1702年の豪雨で亀田川が氾濫し堂宇が倒壊、その後もたびたび災害に見舞われたことと、布教に活路を開くために箱館(現在の姿見坂下)へ06年に移った。移転先でも戊辰戦争に巻き込まれ延焼するなど数度の火災に遭い堂宇が焼失、火災や災害を避けるため1879年に現在の場所へ。開拓時代、本山の高僧が北海道各地へ開教のため足を運ぶ際の活動拠点としての役割も担った。また、積極的に布教活動を行い開いた末寺は41寺。さらに道内の曹洞宗寺院3分の1にあたる180寺が「髙龍寺」の流れを汲んでいる。
1900年に完成した現在の本堂は、4代目・篠田宗吉を中心とする技術者集団によって建てられた総ケヤキ造り。本堂をはじめ、境内の建造物10件が国の指定登録有形文化財で、随所に施された彫刻などから当時の芸術や技術を伺い知ることができる。近年は地域との関わりを大切にし、坐禅、写経、ヨガとさまざまなイベントを開催。景色や境内に姿を見せる野良猫の姿などをSNSで配信し、中でも手洗い啓発といった世情を捉えた動画が全国から注目を集めている。
(ハコラク 2022年 4月号掲載)
曹洞宗 国華山髙龍寺
函館市船見町21‐11
☎0138‐23‐0631
寺務所9:00~16:00
無休 P有り