郷土のために戦った道南の先祖に感謝し
平和な暮らしを願う縁結びのスポット
「函館護國神社」は、箱館戦争で殉難した新政府軍の兵士を祀るため、1869年に「招魂社」として創建。その後、日清・日露戦争や太平洋戦争に至るまで、道南に本籍を持つ約1万3000人の戦没者を御祭神として祭り、「官祭招魂社」「潮見が丘神社」など、時代の変遷の中で名前を変え、1954年「函館護國神社」に改称。郷土のために戦った先祖に感謝を捧げる神社として、平和の尊さを今に伝えている。
慰霊の歴史を背景に持ちながら、縁結びのご利益があることでも知られる。その起源は、1959年頃、参拝に訪れた戦没者の遺族から、家族に良縁があったというお礼の手紙が相次いで届いたのが始まりとされる。手紙の多さは当時の宮司が不思議に思ったほどで、歳月を経て恋愛をはじめ、友人や仕事の出会いなど、さまざまな縁を結ぶスポットとして神社の名は広まった。現在では、「福が来て、苦労しないように」と願いを込めて参道沿いに建てられた「なでふくろう」も加わり、若い世代や観光客からも親しまれている。社殿には赤い紐で結ばれた縁結びの絵馬がずらりと奉納され、和紙や寄木作りの1点物のフクロウ守りが人気を集めるなど、地元の英霊が守った暮らしを、新たな形で見守っている。
(ハコラク 2021年11月号掲載)
函館護國神社
函館市青柳町9‐23
☎0138‐23‐0950
社務所9:00~16:00
無休 P有り