日本最北のかつての城下町
松前藩士や商人が残した興味深い資料が充実
「松前城」(正式名・福山城)は1854年に築城。幕末、太平洋戦争を生き延びた木造天守が1949年に火災の飛び火により焼失、1960年に鉄筋コンクリート造で復元された。町のシンボルであるとともに、道南の歴史を学ぶ上で欠かせない重要な資料でもあり、天守内部の地下から3階に掛けて「松前城資料館」として活用されている。設計図、見分図といった築城に関する資料、城の当時の姿が分かる幕末から昭和にかけて撮影された古写真、藩主が着用した甲冑、古道具が並ぶ。武士、町人、アイヌと松前城下で生きる人たちの様子が描かれ、生活様式だけでなく産業や特産物も読み解ける「松前屏風」など展示品や古文書が、その時代の文化や歴史を想像する楽しい時間を提供してくれる。
松前町町民総合センター内にある「松前町郷土資料館」は1975年開館。町内の遺跡から出土した縄文時代早期後半から擦文時代の土器、徳川幕府が松前の徴税権などを認める「領地御墨付」の原本や複製、藩士の名刀、箱館戦争に関する資料が豊富に揃う。また、江戸時代に商家で使われていた机や帳面、京都・祇園祭の山車に模して造られた「求福山」、アイヌとの交易を示す漆器など、庶民の生活を物語る品も幅広く展示している。
(ハコラク 2021年7月号掲載)
松前城資料館
松前町松城144
☎0139‐42‐2216
9:00~17:00(入館受付16:30まで)
休館日/12月11日~翌年4月9日冬期閉館
入館料/高校生以上360円
小・中学生240円、幼児無料
P有り
松前町郷土資料館
松前町神明30 松前町町民総合センター内
☎0139‐42‐3060
9:00~17:00(入館受付16:30まで)
休館日/12月11日~翌年4月9日冬期閉館
入館料/無料
P有り