尾張徳川家が築いた
酪農、農民美術の原点をたどる
八雲地区の歴史を学べる「八雲町郷土資料館」には、自然豊かな八雲町に生息する動物たちのはく製、遺跡から出土した縄文土器、開墾に使った農耕器具、遊楽部鉱山で使われていた採掘道具などをジャンルごとに紹介している。古くからアイヌが住んでいた八雲地区に和人が住み始めたのは江戸時代の頃。明治に入ってからは旧尾張藩士族の移住開拓が本格的に始まり、尾張徳川家第17代当主・徳川慶勝が徳川家開墾試験場(のちの徳川農場)を創設し町発展のために尽力。稲作、養蚕、ジャガイモ栽培、馬鈴薯澱粉製造・販売を経て、現在の主産業である畜産・酪農とホタテ養殖業にたどり着くまで、試行錯誤した足跡がたどれる資料が揃う。
八雲町は北海道土産の代名詞・木彫り熊発祥の地。尾張徳川家第19代当主の徳川義親が1921年から22年の欧州旅行で訪れたスイスで民芸品の木彫り熊を見て、農閑期の副業としてひらめき、農民の趣味にもなればと制作をすすめたのが始まりだという。郷土資料館併設の「木彫り熊資料館」では、北海道で初めて彫られた第1号と、その手本になったスイス製の木彫り熊をはじめ、地元で活躍した作家たちの個性あふれる作品を紹介。徳川義親が国内外から広く収集した民芸品も多数あり、八雲地区を起点に花開いた文化の軌跡に触れられる。
(ハコラク 2021年7月号掲載)
八雲町郷土資料館・八雲町木彫り熊資料館
八雲町末広町154
問い合わせ:0137‐63‐3131
(八雲町教育委員会)
9:00~16:30
休館日/月曜、祝日
※12月29日~翌年1月5日休館
入館料/無料 P有り
梅村庭園
八雲町末広町151-1
問い合わせ:0137‐63‐3131
(八雲町教育委員会)
9:00~17:00
(11月1日~翌年4月30日10:00~16:30)
休館日/月曜(祝日の場合は開館し翌日休み)
11月1日~翌年4月30日は月曜、祝日
※12月29日~翌年3月31日冬季休館
入園料/無料