一堂に集う「北洋漁業」の資料
日本経済を支えた港街の力を楽しみながら体感する
戦前戦後を通じ、日本経済を支える重要産業だった「北洋漁業」。1982年に開館した「函館市北洋資料館」は、明治から平成まで行われた北洋漁業の基地とされた函館が、港の繁栄と共に近代化を遂げた変遷や、漁具・漁法の記録をはじめ、厳しい自然環境の中で築いた先人たちの業績や、縄文時代にまで遡る北方漁業の足跡を幅広く展示。冬期期間を除き、知識豊富な説明員による無料案内も行っている。
1977年に米ソ両国が200海里漁業水域を設定したのを機に漁獲量が削減され、1991年、北洋漁業は終焉を迎えたが、当時の函館にルーツを持つ企業は、今でも各地に残され、ゆかりのある人が道外から来館することも少なくないという。「かつてのにぎわいを知らない世代にも、先人の努力で日本中から人が集まり、経済・文化の中心地として発展した街だということを分かってもらいたい」と館長は話し、専門的な説明だけではなく、〝楽しむ〟ことを念頭に置いた案内を心掛けている。当時の船員も遭遇したであろう迫力ある海獣の剥製や独航船に実際に乗っているような臨場感を3分間味わえるアトラクション「北洋航海体験室」は子供たちにも人気で、世代を問わず知的好奇心をくすぐる時間を与えてくれる。
(ハコラク 2021年4月号掲載)
函館市北洋資料館
函館市五稜郭町37‐8
☎0138‐55‐3455
9:00~17:00
(4~10月は19:00まで)
休館日/12月31日~1月3日
入館料/一般100円、学生・生徒・児童50円
※市内在住または在学の小・中学生と
未就学児は無料
P有り(来館者は2時間無料)