生活にも密着した観光名所は全国でも珍しい洋風建築の銭湯
住宅街の一角で目を引くピンク色の壁の建物は昔ながらの銭湯「大正湯」。壁と真っ白な縦長窓や玄関の囲い戸との色の対比も鮮やかで、右から読む横書きの看板が古き時代を思い起こさせる。創業は1914年で、現在の洋風建築の建物は1928年に移転した折に建てたもの。3代目店主の小武典子さんは「船大工だった祖父が、船の修理のためよくロシア・カムチャッカに寄港していて、そこで見た建物を見本にした」と話す。1989年に函館市景観形成指定建築物に認定され、丁寧に補修を繰り返し維持。外観は当初、緑掛かった灰色で終戦を機に明るいベージュ色に。その後、少しずつ色合いを変え今のピンク色に落ち着き、周囲に親しまれるようになった。店内はきれいに磨き上げられ、格天井や脱衣所の仕切り、祖父手作りの番台はほぼ当時のまま。ホーロー看板や古い体重計も懐かしさを誘う。昔から変わらぬ銭湯に近隣の人たちが顔を出し、ゆっくりと疲れを癒やしている。
(ハコラク 2020年5月号掲載)
大正湯
函館市弥生町14-9
☎0138-22-8231
15:00~20:00
月・金曜定休 (正月3日間休み)
P有り