道南杉のやわらかさを作品の強みに素材と向き合い新たな価値を作る
昨年、入舟町の石蔵に家具製作工房「くらcra」を構えた鳥倉真史さんは、木工家具の産地・旭川市の工房で無垢材と向き合ってきた家具職人。専門学校時代の恩師が道南杉に新たな価値を見出す人を探していると聞き、「自分の作品で挑戦したい」と函館への移住を決意した。工房の2階に展示する木工椅子「Φ40」は、地域ブランド「新箱館家具」の確立を目指すデザインコンペで、2018年に最優秀賞を獲得した作品。直径40cmほどあるフレームと滑らかな曲線は、体を包み込むようなフィット感で優しい座り心地を実現している。やわらかな道南杉を使った家具作りは、強度の確保や仕上げに高い技術が求められるが、「硬い木材で同じことをしてもこうはならない。間伐で森を守りながら管理されたこの杉は節が少なく木目もきれい」と鳥倉さん。持続可能な林業への貢献や木のぬくもりとモノの大切さを伝える木育ワークショップ開催にも尽力し、新天地で未来に残る仕事を積み重ねている。
(ハコラク 2020年3月号掲載)
くらcra
函館市入舟町1‐12
☎090‐2690‐5809
9:00~17:00
不定休 P有り