函館市産業支援センター(桔梗町)内「プレインキュベータルーム」に4月から入居したIT企業「AIハヤブサ」(函館、村松洋明社長)は26日、同センターで開所式を行った。AI(人工知能)研究の第一人者である公立はこだて未来大の松原仁教授が取締役に就き、AIと画像処理技術を組み合わせ、水産加工分野での異物混入の検査システムを研究開発する。
同社は「ミラック光学」(東京)の村松社長と松原教授が、共同で立ち上げたベンチャー企業。設立は3月16日で、資本金は500万円。初年度の売上高1億円、5年後に5億円の売り上げを目指す。初年度は3人を採用する予定で、まずはマネジメントができる人を夏までに雇用する方針だ。
AIを使った画像検査システムは昨年6月、初号機をミラック光学が売り出し、さまざまな業種で大きな反響を呼んだ。今回はAI技術に強い未来大があり、水産加工業が集積する函館への進出を決めた。AIと画像処理技術を使うことで、水産食品の点検をより高精度にできる。
開所式で、村松社長は「観光と水産資源に続く函館の3本目の柱として、AIを活用したものづくりに共感した。2020年までにハヤブサ2、3号機を開発し、25年には株式上場を目指す」と抱負を述べた。松原取締役は「函館発の新しい画像検査システムを作りたい」と話した。
入居を支援した市経済部の谷口諭部長が、AIが水産加工業の生産性向上に役立つと期待を込めた。
市では、今年3月に地方版IoT(あらゆる物がインターネットを通じてつながる)推進ラボに選定されたほか、4月には未来大に研究拠点「未来AI研究センター」が設立され、地域のニーズと未来大の研究をマッチングさせる動きが活発になっている。(山崎大和)