函館市出身のプロレスラーで、プロレス団体「道南リング」代表のカツオ選手(34、本名・大野勇樹)は新型コロナウイルスの感染拡大で試合中止が相次いだ。苦境に立たされる一方で励ましの声も多く、今夏の大会開催を目指してトレーニングを続けている。
2017年に立ち上げ、ご当地プロレスとして定着しつつある道南リング。カツオ選手にゆかりのあるレスラーを全国各地から集めて道南を拠点に精力的に活動し、昨年は北海道東照宮例大祭での「奉納プロレス」や五稜郭ガーデンでの「ジンギスカンプロレス」など幅を広げ、ファンを楽しませた。「昨年は多くの人に道南リングを認知してもらえた」と充実ぶりを振り返る。
今年は3月から大会開催を予定していたが、コロナ禍で8月までのスケジュールが白紙に。さらに、自身が経営する飲食店「ちゃんこ屋かつお」も一時休店を余儀なくされた。「生活が厳しく引退する選手も出てきて、プロレスができる日が来るのかと不安の日々だった」と話す。
悶々とした自粛生活の中で「道南リングの試合がなくて寂しい」などファンの声が支えになったという。「待っている人たちのためにも」と、自粛期間中も腕立て伏せやスクワットなど、最低限のトレーニングを怠らなかった。
業界最大手の新日本プロレスが15日に大会再開、7月に観客を入れることも発表。プロレス界に明るい兆しをもたらした。室内での開催が多く、“3密”は避けられない競技。感染対策や選手の確保などまだまだ課題は多く、状況を慎重に見極めながら今夏の開催を目指している。「必要としてくれる人たちがいるので辞めてはいけない。腐らずに早くプロレスを見せたい」と情熱を込め、“来る日”を信じてこの困難を乗り越える。(小林省悟)