(荒井三津子さん・暮らしのパレット)「伝える力」

 食生活論を受講している学生に宿題を出した。宿題と聞いて「ヤダー」という小さい悲鳴をあげた彼らだったが、内容を聞いて皆すぐに安心した。課題はお正月に食べたものを記録してくること。おばあさんやひいおばあさんがいたら、子供のころの食べ物も聞いてみるように伝えた。
 一年で一番大きな、はれの行事であるお正月に、自分たちの食べものにどんな伝統が残っているのか、調べて考えてもらいたいと切に思って出題した。若い人たちの間ではオードブル、回転寿し、焼き肉、というお正月料理も目立ちはじめた。今こそ記録しておかなければと思う。
 何を食べてもよいし、簡略化も悪くない。だが、わずか2世代か3世代の間で食べ物がどれほど変わるか、学生たちにはそのことに関心を持ってほしい。恵方巻きは歴史がないにもかかわらず、20年足らずでちゃっかり日本の行事食に名を連ねてしまった。提案のされかた次第で、新しい食の形態はすぐに受け入れられ、長く支持されることが実証された。クリスマスもそのよい例である。
 私が子供のころ、昭和30年代にはすでにクリスマスは町中が大にぎわいだった。だが、七面鳥ではなくニワトリ、しかも唐揚げでもザンギでもなく骨付きが定番になったのはなぜだろう。歴史を振り返ってこそ未来が見える。
 食べもの流行のはやり廃りと、新しい食文化の浸透の速さに危機感を感じている教師の気持ちを察してか、学生はみな神妙な顔をしてメモをしていた。彼らはどんなレポートを書いてくるだろうか。(生活デザイナー)

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