学校だけでなく、高齢者の施設も閉鎖になった。時間を持て余しているのは子どもだけではない。体を動かせない高齢者とその家族にも大きな負担がかかっている。さまざまな職種に支障が生じ、「廃業」の二文字もあちこちから聞こえ始めた。誰が悪いのか。振り返って組織や個人を批判したところでどうにもならない。何かが発令されるたびに根拠は何かと問うても、科学的な根拠や、裏付けのある確固たる方針を提示することなど、今誰ができるだろうか。そうは思っても、いら立ちや、やり場のない怒りは募る。
この「非常時」に大きく予定を変えずに暮らしていると、意識の低い非常識な人間のように思われる。マスクをしないで歩いていると、人通りが少ない道でも、すれ違う人にあからさまに嫌な顔をされる。他に身寄りのない入院中の叔母を見舞いに東京に通っていると、それとて自粛すべきだという人もいる。自分がウイルスの運び屋にならないように、閉鎖的な人混みは避けるのは当然である。
不必要な外出は避けよう。だが、不必要かどうかの判断は自分でするしかない。「誰かが言うから」とか「みんながそうするから」というのではなく、自分で判断したい。今、大人たちは何かを試されているような気がしてならない。周囲の国とのしばしの断絶も止むを得ないのか。批判され、嫌われることに戸惑うこの国だが、日本の良さを今こそしっかり見つめたい。それほど悪い国なのだろうか。(生活デザイナー)