オリンピックが楽しい。だが今、メダルの色を巡ってちょっとした話題がある。金メダルを逃し、銅メダルだったときの反応である。金メダル以外なら、欲しくなかったかに見える表情は、海外でも注目されたようだ。
オリンピックに選出され、世界の高順位者に名を連ねただけで素晴らしいと私は思うが、100人に100編のドラマがあり、勝っても負けても涙。だが、やはり1位にしか価値がないという考え方には抵抗がある。
以前、1位でなければ2位も最下位も同じだというスポーツマンに会ったことがある。トップをめざす彼の戦う姿勢はたぶん正しいだろうが、スポーツマンシップのなにか違うような気がした。その「なにか」が何なのか、連日オリンピックを見ながら考えている。
そういえば、幼稚園や小学校の運動会で順位をつけないことに関する議論はどうなったのだろうか。学芸会ではシンデレラが何人もいると聞いた。「なんだかなー」と思う。大人の社会にはなんらかの「順位」は必ずある。一席しかない席を争うことも多い。だがその席が得られない時にどうするか、それを学ぶことは、その席を得るために努力することと同じぐらい大切ではないかと私は思っている。
オリンピックは「参加することにこそ意義がある」というクーベルタン男爵のあの名言を思い出しながら寝不足の日はもう少し続く。(生活デザイナー)