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公立はこだて未来大学開学20周年特別企画「まず、やってみよう」④/校名、マーク、学習内容…函館から変革を

 道南地域の悲願として2000年に産声を上げた公立はこだて未来大学。開学から20年が経過した現在となっては、大学の存在もコンセプトも国内外に広く知れ渡っているが、そのスタートにあたっては名称やシンボルマークといった〝対外的に目に見えるもの〟はもちろん、学生たちが何を学ぶかというカリキュラムにおいても新たな試みが採り入れられた。どれ一つをとっても、函館から日本の大学を変えよう―という気概が込められていた。

 1市4町連携し開学

 開学にあたっては、設置・運営主体として道内で初めて広域連合方式を導入し、大学に限れば全国初の試み。函館市と上磯、大野、七飯、戸井の4町(当時)が連携しての立ち上げが、名称やシンボルマークの決定過程においても大きく影響することになる。
 大学名は開学2年前の1998年2~3月にかけて全国から公募、1513通、815種類が寄せられた。応募案の中から実際の大学づくりを担った計画策定専門委員会によって、函館公立大、函館工科大、函館湧源大、公立函館みらい(未来)大、函館創造大の5点に絞られた。
 このうち「未来」が入っていたのは八雲町の男性が応募した「公立函館みらい大」と、札幌市の女性が出した「公立函館未来大学」のわずか2点。他地域では「○○公立大学」が一般的だっただけに、インパクトのあるネーミングとして迎え入れられた。
 策定委メンバーの一人、美馬のゆり教授(60)は選考理由について「一つは大学名に『工科』など分野の名前を入れてしまうと、教育や研究の分野を狭めてしまうことにつながる。もう一つは『未来』を入れることで、日本の大学教育に変革を起こしたいという願いがあった」と明かす。ひらがな表記の「はこだて」も論議を呼んだが、当時の観光PRポスターの表記と合わせ、かつ函館圏1市4町が連携する意味も含めてのものだった。
 程なくして、英語の略称も「fun」に決まる。「フューチャー」のF、「ユニバーシティー」のUNから取るとともに、学びは楽しい―という思いも込めた。ホームページやメールアドレスにも「fun」が使われているが、「大学設置の認可が下りた途端に申請した。取れた時は皆でガッツポーズでしたね」(美馬のゆり教授)
 
 シンボル 5つの円で躍動感

 シンボルマークは99年からデザインの知見を持った教員予定者による専門委員会で開発をスタート。地元からも含めて企画コンペに多くの作品が持ち寄られた中、今夏に予定される東京五輪のピクトグラム(絵文字)などを手掛けた廣村デザイン事務所(東京)の案が採用された。
 大きさの異なる5つの円が重なり合ったデザインは、人間、科学、情報、文化、自然の融合と、1市4町による運営―を表現したもの。選定にあたった一人、木村健一教授(63)は大激論の末に決まったと振り返り、「これまでになかったようなマーク。5つの市と町が力を合わせ、これから何者かになろうとしている躍動感があった」と評する。マークの使い方を定めたマニュアルにも300万円が投じられたといい、完成度の高さは今なお色あせることがない。
 
 プロジェクト学習 1年かけて地域課題解決目指す

 未来大はシステム情報科学部のみの単科大として創設され、複雑系科学科と情報アーキテクチャ学科を備えるが、この2学科の垣根を取り払って学生たちが取り組むのが、3年次の必修科目として2002年度にスタートした「プロジェクト学習」。地域社会や企業などと連携し、地域が抱える課題をテーマに1年間かけて地域課題の解決を目指す、大学の根幹をなす教育スタイルだ。
 プロジェクト学習では、学生が現在取り組んでいることが、社会にどのような影響を及ぼすのかが問われる。美馬義亮教授(63)は「学ぶことの意味を知りながら学べる大学にしたかった」と導入意図を説明するとともに、「理系大学の3年生は実習で忙しいが、実習の時間をプロジェクト学習に充てることで、4年の卒業研究にもつながると考えた」と話す。
 毎年度、20前後のテーマが提示され、10~15人の学生と複数の教員で構成されるのが特徴。これまでも各種アプリの開発、ロボットの制作、ゲームを通じた小学生の学習支援などさまざまなコンテンツを生み出してきた。
 北海道新幹線開業を見据え、2013年に誕生した北斗市の公式キャラクター「ずーしーほっきー」も、実はプロジェクト学習の産物。同市から依頼を受けた当時のメンバーは市内の観光スポットを視察したり、ホッキ漁の疑似体験などを通じて構想を練り、100余りの案の中から5点に絞り込んで市民投票を行った結果、最多得票で選ばれたのが「ずーしー」だった。市とのコーディネートを担った木村教授は「ホッキがモチーフになるかもしれないと市に伝えたところ、マイクロバスを用意してくれてホッキを採りに行ったり、市民投票をした時も小中学生から大人までが投票できるようにしたり、市民総出で決めてくれた」と市の協力態勢に感謝する。
 
 情熱をモニュメントに

 大学がさまざまな先進的な取り組みを進めていく上でも、「未来大学」という名前の持つ意味は大きかったと美馬のゆり教授は指摘する。「プロジェクト学習を中心に据えた中、この教育方法が成功すれば、ほかの分野にも適応できる。10年後、20年後には主流になるという信念があった」。函館圏公立大学広域連合長として最終的に名前を決めた木戸浦隆一元市長は、開学を待たずして1999年に他界。氏の遺族は開学に際してモニュメントを寄贈し、柳英克教授らがデザインを手掛けた。「輝く未来を担う若者達の育成に注いだ故木戸浦隆一の情熱をここに刻む」―。学生たちはモニュメントに刻み込まれたこの言葉に見守られながら、日々の研究にまい進している。(千葉卓陽)

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