【札幌】JR北海道は18日、来年3月26日に開業する北海道新幹線や新函館北斗―函館間を結ぶアクセス列車「はこだてライナー」などのダイヤを発表した。東京―函館間の乗り継ぎ時間を含めた最速時間は、現行から53分短縮され、4時間29分となる。一方、函館市の関係者らが要望していた宇都宮駅の停車が見送られたことに際し、同社は「今後も停車は難しい」との見方を示した。
札幌市のJR北海道本社で行われた記者会見で、JR北海道の田畑正信常務と鉄道事業本部の宮越宏幸運輸部長らが明らかにした。
新函館北斗―東京間を4時間2分で結ぶ最速列車は上下計3本で、新青森、盛岡、仙台、大宮のみ停車する。下りは東京午前8時20分発「はやぶさ5号」と同9時36分発「はやぶさ11号」の2本、上りは新函館北斗午後5時21分発「はやぶさ34号」の1本。このうち、はやぶさ5号を利用し、新函館北斗駅ではこだてライナーに乗り継ぐと函館は午後0時49分着となり、東京―函館間最速の4時間29分となる。
一方で、宇都宮駅が現状通り通過となることについて、宮越部長は「はやぶさは首都圏と北東北、北海道を最速で結ぶという使命を持っている」と説明。ほとんどの「はやぶさ」は、東京-盛岡間で秋田新幹線「こまち」が併結していることを挙げ、「秋田新幹線は単線区間で、列車交換(行き違い)の場所や時間が限られていることで、綿密にダイヤを組んでいる。はやぶさを宇都宮駅に停車させ、ダイヤを変更するこは相当厳しい」と今後も停車の可能性が低いという見解を示した。
新函館北斗駅を発着する新幹線は、東京便10往復20本を含む13往復26本。木古内駅には8往復16本、奥津軽いまべつ駅には7往復14本が停車し、繁忙期の臨時便の運行について同社は「検討中」とする。田畑常務は「準備作業に追い込みをかけ、万全の態勢で開業日を迎えたい」としている。(山田大輔)
北海道新幹線のダイヤが18日に発表され、木古内駅には8往復16本が停車することとなった。在来線特急の本数と同じ10往復20本の停車を要望していた地元関係者は、多少の落胆を示すが、「十分な数字だ」と好意的な見方を示す意見が多い。
こうした背景には、大森伊佐緒木古内町長が「要請した本数は、まちの規模を考えるとハードルが高かったかもしれない」と認めるように、20本は理想の数字で、現実的な本数を考えると「需要予測以上の停車本数に決まった」と捉える向きが強いからだ。
人口約5000人の木古内町は、新幹線の停車駅を持つ全国の自治体の中で、奥津軽いまべつ駅のある青森県今別町(約3000人)に次いで人口が少ない町となる。北海道新幹線新函館開業対策推進機構によると、全国で木古内と同じ16本の新幹線が停車するのは、岩手県岩手町(人口1万4000人)のいわて沼宮内駅があるといい、単純にまちの人口で比較した場合、停車本数は十分な数だと言えそうだ。
木古内町は、地元負担として新幹線建設に多額の費用を負担していることに加え、昨年5月の江差線(木古内―江差間)廃止を受け入れた経緯もあり、JRが町側に最大限の配慮をしたとみられる。
木古内町駅前には来年1月13日、渡島西部4町と桧山南部5町の観光拠点となる「みそぎの郷(さと)きこない」がオープンする。新幹線の停車本数と施設を生かし、開業効果を最大限に生かす取り組みが今後、道南西部の自治体に求められる。
一方で、北関東からの集客を見込み、函館市の官民トップらが要請していた宇都宮駅の停車は見送られた。北海道新幹線のダイヤは、現行の東北新幹線のダイヤをベースに作成されている。北陸や秋田、山形など他の新幹線と接続を持ち、ダイヤを変更するとさまざまな影響を及ぼすとして、宇都宮停車の可否にはJR東日本の意向が強く働いたものとみられる。
地元関係者が要望していた「新幹線の毎時運行」「新函館北斗―東京間の3時間台の運行」「宇都宮駅停車」は全て実現されなかった。とはいえ、今後可能性が全くないわけではない。関係機関に要請活動を続ける一方、これらの要望が実現された際に一層の集客効果が現れるように、新幹線開業をスタートとして地元が受け入れ態勢をしっかり整えられるかどうかが問われている。(山田大輔)