戊辰戦争(1868~1869年)の終結から150周年を記念し、ゆかりの地や人物を紹介するモニュメントの設置が25日、函館市内で始まった。6月までに渡島・桧山の9市町にも拡大。歴史展示物を活用したモバイルスタンプラリーの展開など、箱館戦争を核に周遊観光につなげる取り組みを進める。
各自治体と函館商工会議所、観光団体など官民17団体からなる戊辰戦争終結150周年記念事業実行委員会を3月に設立。会長には箱館五稜郭祭協賛会の中野豊会長が就任した。
事業名は「みなみ北海道 最後の武士(もののふ)達の物語」。道南各地には箱館戦争の戦跡が点在するが、統一デザインのモニュメントを設置して紹介するなど、今回のような取り組みはこれまでにはなく、連携することで道南全体での発信力を強化する。
市内では、2014年の五稜郭築造150年祭で、幕末開港期から明治にかけての歴史群像を紹介する円筒形掲示塔「リトファスゾイレ」を設置し、注目を集めた。五稜郭にはこのうちの6基がある。
今回のモニュメントは2タイプあり、円筒形は高さ2・7メートル、直径82センチ、三角柱は高さが2メートル、表示面の幅30センチで製作。設置する自治体が予算を組んで負担するほか、スポンサー企業の協賛も得た。6月までに円筒形11基と三角柱16基を完成次第、設置する。
25日は三角柱タイプを市内3カ所に設置。弁天台場跡にほど近い入舟児童公園には箱館奉行永井玄蕃ら、碧血碑のふもとには榎本武揚、中島町には中島三郎助父子を中心とした展示物を設置。それぞれ写真入りで、歴史入門者にも分かりやすい解説文がある。26日には四稜郭などに2基を設置予定だ。
実行委の中野晋事務局長(54)は「思い描いた通りの仕上がり。多くの人に見てもらい、関心を高めてもらいたい」と話している。(今井正一)