函館市宝来町9の老舗和菓子店「千秋庵総本家宝来町本店」が15日、リニューアルオープンする。築100年以上とされる店舗併設の蔵を活用したイートインスペースを新設し、購入した菓子がコーヒーなどとともにその場で味わえる。同店は「西部地区散策のついでに足を運んでもらえる憩いの場になれば」とPRする。
同店は1860(万延元)年創業。宝来町本店は当初分店で、末広町に本店を構えていた。1934(昭和9)年の大火でともに焼失したが、焼け残った宝来町の蔵に隣接する形で店舗を再建し、宝来町本店として営業を続けてきた。
店舗は老朽化が進み、昨年10月にリニューアル工事に着手。歴史を感じさせる正面の店構えや伝統的な日本家屋のたたずまいを残しながら外観を補修。店舗の床部分には赤レンガ倉庫など函館の人々になじみ深いれんがを敷き詰めた。
イートインスペースに改修した蔵は倉庫や作業場として使われており、これまで一般には公開されてこなかった。1、2階で計17席を用意し、「函館十字屋珈琲」こだわりのコーヒーをはじめ、地元メーカーから仕入れた緑茶、ほうじ茶などを提供する。
14日までは物販のみ営業。リニューアルを記念し、スフレ生地で自家製小豆あんと豆乳クリームをはさんだどら焼き「ふくる」、七飯町の「箱館醸蔵」の酒かすを使った「郷宝カステラ」などの新商品も販売する。同店は「リニューアルを機に、幅広い年齢層に和菓子の良さを知ってもらう機会になれば」と話している。
営業時間は午前9時半~午後6時。(飯尾遼太)