【青森】3月26日の北海道新幹線開業を前に、JR北海道などが9日未明に青函トンネル(53・85キロ)で実施した避難訓練で、北海道新幹線H5系車両(10両編成)が竜飛定点(青森県外ヶ浜町)発車直後の午前2時50分ごろ停電し、緊急停車するトラブルが起きた。同社によると、送電の切り替え手順にミスがあったという。
青函トンネル内で新幹線車両を使った救助訓練は初めてで、JR北海道やJR東日本の社員ほか、消防、警察、報道関係者ら約300人が乗車していた。
停電は約5分間で復旧し、約20分現場に停車した後に運行を再開。奥津軽いまべつ駅に停車して安全点検を行い、新青森駅に予定より約40分遅れて到着した。けが人はなく、当日の在来線や貨物列車の運行にも影響はなかったという。
訓練は新函館北斗駅を午前1時に発車した新幹線車両が青函トンネルを走行中、8号車で火災検知装置が作動したと想定。列車を竜飛定点に停車させ、JR北海道の社員が警察や消防と連携してけが人や車いす利用者を含む乗客役46人を、青森方向から来た新幹線救援列車に誘導した。
救援列車は新青森駅に引き返すため、下り線を通常とは逆方向に動き出したが、間もなく停電が発生し、非常灯以外の車内の照明が消えて緊急停車した。JR北海道によると、北海道新幹線は4カ所の変電所から送電されており、列車を逆方向に進行させる際には変電所の切り替えを手動で行う必要があるが、新幹線運行管理センター(札幌)の担当者が操作を誤ったという。
訓練に参加していたJR北海道の島田修社長は新青森駅で報道陣の取材に応じ、「不慣れな点があったためご迷惑、ご心配をお掛けして大変申し訳ない。教訓として生かし、無事安全に開業を迎えたい」と陳謝した。(金子真人)