【せたな】せたな町北桧山区の「ひらかわ牧場」(平川賢一社長)が、農水省の「六次産業化・地産地消法」に基づき、事業計画が認定された。店舗兼工場を整備中で、10月にも自社の生乳を使ったアイスクリームの製造・販売に乗り出す。町内産の野菜や果実、海産物を活用し、大手メーカーと差別化を図る考え。道南で20件目の六次産業化認定となった。
平川さん(48)は広島県出身で、静岡県出身の妻・恵美さんと2010年にせたな町で新規就農。19年に法人化し、現在は経産牛38頭、育成牛17頭を飼う。草地は40ヘクタール(うち10ヘクタールは放牧地)、労働力は夫妻のほか、社員とパート従業員が各1人いる。牧草は100%自社生産で、農薬や化学肥料を使っていない。生産効率よりも乳質にこだわった酪農経営をしている。
就農当初から六次産業化に興味を持っており、今回念願かなってアイスクリーム製造が実現。製品は店舗内にイートインスペースを設けるほか、函館などの飲食店やレストランに出荷、ネット通販でも買えるようにする。
恵美さんはブルーベリーやイチゴ、トウモロコシなどでアイスの試作品に取り組んでおり、開店後は店の運営を担う。店名は「グラス」で、質の良い牧草で酪農が成り立っていることを意味する。店舗の後ろに放牧する乳牛が見える絶好のロケーションで、景観も売りにする。日本政策金融公庫から2500万円の融資を受けた。
認定は4月30日。今月12日にJAきたひやま北部桧山地区農協乳質改善センターで認定証の交付式があり、道農政事務所の田鎖武函館支局長が平川夫妻に認定証を手渡した。式にはJAきたひやまの本井治組合長らが参加した。
六次産業化の認定件数は、ひらかわ牧場を含め渡島14件、桧山6件(5月29日現在)となり、認定者になると資金融資のほか、農水省の補助事業が受けられる。(山崎大和)