渡島総合振興局は3日、渡島管内でのスケトウダラ刺し網漁について、本年度の漁獲量が過去10年間で最低に落ち込む見通しであることを明らかにした。昨年10月から今年1月の累計は前年比37%減の8746トン(速報値)と1万トンを下回った。漁期は3月末までだが、渡島は例年、12月が漁の本番で、漁場は既に日高沖に移っており、大不振のまま終漁を迎える可能性が高い。
同振興局によると、管内7漁協の漁獲量合計は不漁だった前年をさらに下回る水準。主な漁協の水揚げは南かやべが53%減の1554トン、えさん(椴法華)が52%減の478トン、鹿部が40%減の2385トン、砂原が22%減の3462トンと軒並み低下。操業は続くが、2~3月で数量が大きく増えることはない見込み。
数量減により、単価は13%高の1キロ115・3円となり、高い水準で推移した。漁獲金額は29%減の10億865万円。
水揚げがあった日数(昨年10月~今年1月)は、前年比6回減の80回。10月はしけの影響で7回少ない16回にとどまったが、11月以降は前年並みの操業が確保できた。
同振興局は「漁期の初めは魚が深みにいて、網が刺せなかった。その後は捕れる場所に魚が来なかった」(水産課)とみる。道総研函館水試の武藤卓志主査は「水温が高く、魚が渡島沿岸に寄らなかった。昨年11月の調査では、渡島沖の水深150~250メートルで平年より2度~4度も高かった。卓越年級群(生まれた魚が非常に多く生き残ること)の2005年生まれのスケトウが減り、資源状態が悪化していることも影響している」と話している。(山崎大和)