【北斗】北斗市の文月・向野地区で近年、ワイン関連施設の集積が進んでいる。文月地区では9月30日に竣工(しゅんこう)を迎えたワイナリー「ドゥエ・プンティ」に続き、3日には「農楽(のら)」(佐々木佳津子代表)の新たなワイナリーが竣工を迎えた。来年には同地区で農泊施設が、向野地区にワイナリーが完成予定で、ワインを核とした観光振興や、関連産業における雇用創出などに期待が高まっている。
「農楽」新たにワイナリー
農楽は他社に先駆け、2011年から文月地区でワイン醸造用ブドウの栽培を開始。「ドゥエ・プンティ」(井坂真介代表)をはじめ、昨今の同地におけるワイン関連施設の集積化に大きな影響を与えている。
ワイナリーはこれまで函館市元町に構えていた「農楽蔵(のらくら)」を移転したもので、佐々木代表の夫で同社取締役の賢さんは「熟成期間をしっかりと取り、適切なタイミングでリリースできる環境を整えたかったのが移転の最大の目的」と話す。
農楽の新ワイナリー(約216平方メートル)は、年間1万5000~2万本程度の生産能力を保有。自社畑では主にシャルドネやピノノワールを栽培し、このほか試験栽培品種も含めると10種以上に上るという。9月27日から新しいワイナリーでの仕込みを始めており、早ければ12月にも同所で製造されたワインがデビューする見通しだ。
今季は猛暑や鳥獣の影響で、自社畑で栽培したブドウの収穫量が例年と比べ少ないとしながらも、七飯町や後志管内余市町などから買い付けしたブドウを含め、1万2000~3000本程度の生産を見込んでいるという。自社栽培したブドウを使った北斗産ワインのデビューは、熟成の兼ね合いから再来年ごろとなる見通し。
式には、池田達雄市長や渡島総合振興局の田中仁局長らが出席。池田市長は「佐々木夫妻は早くから、文月地区がワイン醸造用ブドウの生産適地であることを見抜くなど、北斗市産ワインのパイオニア的存在。今後も北斗市におけるワインづくりをリードしていただきたいと強く願う」とあいさつ。田中局長も「新たなワイン産地としての魅力を高めていけるよう、取り組みを進めていきたい」とした。佐々木代表は「ようやくワイナリーが完成し、可能性が広がった。これから再スタートの思いでワインづくりに取り組んでいきたい」と話していた。式後には農楽の2017年産白ワイン「ノラ・ブラン」が振る舞われた。
来年には文月地区で「Hygge(ヒュッゲ)」による農泊施設、向野地区で「torocco(トロッコ)」によるワイナリーが完成予定で、市関係者は同地を中心としたワイン振興への期待に胸を膨らませている。(野口賢清)