函館市農林水産部がまとめた市水産物地方卸売市場での8月の生鮮スルメイカ取扱量は、前年比36トン減の37トンで、統計の残る2005年以降で過去最低を更新した。一方、極端な薄漁を反映し、1キロあたりの平均単価は同457円高い1572円で、月別で過去最高を記録した。
同部によると、8月単月の取扱量は過去最低だった2020年の68トンを下回り、最も少なかった。7月に続き2カ月連続で過去最低となり、過去最悪レベルの状況にある。37トンの内訳は上旬17トン、中旬8トン、下旬12トン。出漁日数は台風によるしけが多く、前年より6日少ない19日だった。取扱金額は同2411万円少ない5749万円。
今季の漁期(6~8月)の合計も130トンと05年以降で最も少なく、単価は1385円で初めて1000円台を突破した。
8月の漁獲に関し、同部は「船を出してもイカがいない。捕れたと思っても急に捕れなくなるなど、漁獲パターンに変化が見られる。市場ではイカの取り合いになり、単価がつり上がった」とみる。
函館市中島廉売内の紺地鮮魚の紺地慶一社長(61)は「函館の釣りイカはほとんどない状態。いけすイカ1匹の仕入れ値が1000~1500円するので、高すぎて店頭で売れないから買えない」と嘆く。
道総研函館水試の三原栄次主任主査は「秋生まれ群も冬生まれ群も、日本近海の分布量が少ないことが要因。函館での8月のイカ釣りを見ると、21~23日に各1トン前後捕れたが、それ以外はあまり捕れていない。道内でもたくさん捕れている所はなく、今後の漁獲に明るい兆しは見えない」と話す。
同水試が8月中~下旬に実施した道南太平洋の調査では、スルメイカの分布密度は低く、昨年と過去5年(18~22年)平均を下回った。サイズは昨年と過去5平均に比べ小さかったとしている。(山崎大和)