函館市の2014年度の生活保護費に関し、市が不正受給と判断した件数が前年度比17件増の206件に上り、過去10年間で最多となったことが分かった。一方で金額は同1940万円減の6124万円、1件当たりの受給金額も29万7000円で、同約13万円減少した。
市は受給者の納税に関する情報などから収入調査を行い、不正受給かどうかを判断している。
206件の内容は稼働収入(働いて得た収入)の未申告・過少申告が最も多く、同1件増の127件。年金など公的給付の未申告も同1件増で39件だった。残る40件は、仕送りなど稼働収入に当てはまらない収入の未申告・過少申告などで、保護の要件を満たさず受給していたケースもみられた。
市の14年度の受給者数は、前年度比87人減の1万2914人と2年連続で減少。一方で、人口減少や一人暮らしの高齢者世帯が増えていることなどから、人口1000人当たりの受給者数を示す保護率は通年平均で47・4と、道内でも2番目に高い水準となっている。
生活保護に関する相談を受け付けている市民団体「函館生活と健康を守る会」の担当者は「不正受給の中には子どものアルバイト収入に気付かなかったり、事情による急激な貧困に適応できなかったりするケースもある」とし、「生活保護制度の制限により、保護を受けても苦しんでいる人たちはいる」と説明する。
市生活支援第1課によると、不正受給1件当たりで100万円以上のケースは12件、少額だと2~300円台もあったといい、「今後も不正受給の早期発見に取り組み、金額が膨らむ前に適切な対応を行う」としている。(蝦名達也)