函館市は5日、社会福祉施設などでの新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、介護、障害者施設など市内260カ所の入所型施設の職員約6000人を対象とした抗原検査を早ければ8日から開始すると明らかにした。新型コロナのワクチン接種が始まるまで、月1回程度の実施を想定。定期検査することで施設の安全性を高める狙いだ。
同日行われた市議会民生常任委員会(池亀睦子委員長)で、大泉潤保健福祉部長が実施概要を説明した。
検査事業は市が民間検査機関に委託して実施。事業費は4158万円で、市の予備費から充当され、2分の1は国の感染予防事業費負担金とする。コロナ感染で重症化しやすい高齢者や障害者と接する時間が多い入所施設職員が対象で、1日あたり300人程度の検査を見込むが、大泉部長は「市内の感染状況や病床のひっ迫状況によっては検査数を変動させる場合がある」と述べた。
検査方法は、迅速性、確実性、コスト面を総合的に勘案し、唾液採取による抗原定量検査を採用。抗原検出用キットよりも感度が高く、少量のウイルス量を検出でき、空港検疫などで活用されている点で選んだ。事業者は市が指定する期日に検査容器を受け取り、提出。受け取った市が容器を検査機関に送り、市立函館保健所に検査結果の連絡が入る。その後、市を通じて施設に結果を伝え、抗原検査の段階で陽性者が確認された場合は速やかに市衛生試験所でのPCR検査を実施するという。
また、ワクチン接種について、現時点では国から具体的な種類と供給量は示されていないが、医療従事者は今月中旬から、65歳以上の高齢者は早くても4月1日以降となる見通し。市は接種方法について、関係医療機関などと協議し検討を進めている。(長内宏人)