函館市は、戸井、恵山、椴法華、南茅部の旧4町村の観光振興に本腰を入れる。学識経験者らを交えた協議で、既存の観光資源の磨き上げや周遊ルートの造成を図る方針。4地域共通の課題や地域振興の協議を目的として9月30日に発足した「東部地域まちづくり懇談会」で詳細を詰め、新型コロナウイルスの感染収束後に大勢の観光客を呼び込みたい考えだ。
旧4町村には「北海道・北東北の縄文遺跡群」に含まれる大船、垣ノ島遺跡をはじめ、自然体験ができる恵山や椴法華地区の銚子サーフビーチなどがある。これまでは4地区で設置していた地域審議会でそれぞれ議論していたが、連携した取り組みが課題となっていた。
今後は新設した懇談会に市や専門家、宿泊事業者らで構成する分科会を設置。観光資源を検証するとともに、鹿部や大沼を含めた日帰りと宿泊の観光ルートを造成し、旅行事業者向けの宣伝資料を作成。新型コロナの流行で注目が高まっている近場の観光「マイクロツーリズム」の可能性も探る。
恵山コミュニティセンターであった懇談会の初会合には、各地域の漁業、町会関係者ら約20人が出席。参加者からは「スピード感を持って臨むべきだ」などの意見が上がった。
懇談会は24年度まで4支所が持ち回りで開催する。今年度の座長を務める小笠原聡恵山支所長は「東部地域の雄大な自然や歴史、文化を生かせていない面がある。周遊観光ルートを商品化することで地域にお金が落ちる仕組みづくりを構築したい」と話している。(山田大輔)