函館市企業局交通部は、明治時代の客車を復元した「箱館ハイカラ號(ごう)」の今季の運行を延期する。新型コロナウイルスの感染予防のためで、当初は4月15日を予定していたが、収束するまでの当面の間の措置として決めた。同部は「楽しみにしている人もいると思うが、現在の状況ではやむを得ない。安全に運行できるようになるまでお待ちいただきたい」としている。
函館の観光シーズンの幕開けを告げる風物詩的な存在で、10月末までの土・日曜、祝日に運行を予定している。赤を基調としたレトロな車両が特徴で、観光客からの人気が高い。2019年度は約1万1000人が乗車した。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大を受け、観光需要が減っていることに加え、乗務員と乗客のやり取りが多く、切符も手渡しのため、感染リスクを減らす意味で延期を決めた。
箱館ハイカラ號は1910(明治43)年に千葉県成田市で初運行した車両で、18(大正7)年に函館に移り、客車やササラ電車として活躍。92年に函館市制70周年記念事業の一環として復元された。(小杉貴洋)