函館市議会総務常任委員会(斉藤佐知子委員長)が4日開かれ、市が導入を目指す宿泊税に関する質疑が行われた。市財務部は、導入に伴う実質的な財政効果額が5億5000万円程度となる見通しを示した一方、同じく宿泊税を検討している道が、外部委員会の場で検討中の案を示したことについて「不満を持っている」と憤りをあらわにした。
市は宿泊税を一人1泊200円と設定。道が宿泊税を導入した場合は二重課税となることから、宿泊客の負担感軽減を図るため150円に減額、さらに入湯税を現行の150円から70円に減額する方針を打ち出している。昨年度の市内宿泊客数(441万人)に照らし合わせると、道も徴収する場合の減額分や入湯税の減額分を加味すると、市全体での財源効果は5億5000万円程度となる。小林利行財務部長は使い道について、「観光費」として計上している約4~5億円のほかに、人件費や港湾、空港の活性化策、街並み整備などを挙げ「市としての観光に資する施策に充てていく」と述べた。
一方、道は検討を進めている「観光振興税」(仮称)に関し、1月24日に開いた有識者懇談会で3案を示した。これに対し小林部長は「市町村の意見は聞いたが、道が考える具体的な制度内容や税率は外部委員会で一方的に示されている状況。正式に説明や調整が行われている状況ではなく、こういった進め方には一定の不満を持っている」と言及。道が調整を図るべきとした。
委員からは、安い料金で宿泊する客にとって負担感が大きいとする意見や、地元資本の中小事業者にとっては死活問題だとの指摘も出た。小林部長は「あくまで宿泊客から徴収する。宿泊客は等しく函館市の観光サービスを享受したとして制度を設計した」と述べた。また、2月の定例市議会に条例案を提出するかについては「最終的な判断は決まっていない」と言及を避けた。(千葉卓陽)