函館市の工藤寿樹市長は、市長選で公約に掲げた観光目的税に関し、2021年度までの導入を目指す考えを明らかにした。宿泊税として市内宿泊施設の利用者から徴収する計画で、福祉政策の充実に向けた財源を確保する。
函館新聞の取材に対し、工藤市長は、人件費やイベントも含めた観光経費に一般財源から7、8億円支出していると説明。「この規模の街としては非常に大きく、市民に回すべき予算が観光に回っている。税収を充てることで観光事業を自立させ、福祉の財源確保を図りたい」と導入への意欲を示した。
17年度の市内宿泊施設の利用者は357万人。道内では札幌に次いで多く、仮に宿泊者から200円徴収した場合は、観光経費の7億円が賄えることになる。
実施時期については、道も宿泊税の導入を検討していることを挙げ「函館観光のために努力しているのは市。黙っていると道に吸い上げられてしまう。できれば2年以内をめどにと思っている」と述べた。今後は、ホテルや旅行代理店などの理解を得た上で市議会に条例案を提出し、総務相に同意を求める。
宿泊税を巡っては、東京都や大阪府、金沢市などが既に導入。道内では後志管内倶知安町が条例を制定し、11月から徴収を始める予定。
このほか工藤市長は、観光目的税導入後の観光振興に関わる業務について「市が直接やるのではなく、函館国際観光コンベンション協会の人員を増やして対応できるようにしたい」との構想を示した。(山田大輔)