国土交通省の「景観まちづくり刷新モデル地区」の指定を受け、函館市が2017年度から3年計画で取り組む観光地などの整備事業が着々と進んでいる。最終年度の19年度は新規事業として、開港記念館(旧イギリス領事館)の外壁改修や魅力的な眺めが楽しめる視点場の整備など3事業を予定。観光スポットの魅力や利便性を高めることで、市民や観光客の一層の来訪につなげたい考えだ。
同館は市の有形文化財で、年間約6万人が訪れる名所。ただ、1913(大正2)年建築で、外壁の塗料がはがれるなど経年劣化が進んでいた。雨だれによる黒ずみも目立つことから外壁の全体的な補修を計画する。
視点場は今年度の現地調査を基に、本格的な整備に着手。美しい自然を眺望できる場所でありながら、休憩スペースがないなど未整備の地点で、ベンチの設置や雑草の除去などを予定。新たな憩いの場を提供することで市民に地域への愛着を深めてもらうとともに、観光客の呼び込みも狙う。場所は西部地区の2カ所を想定し、最終調整中だ。
さらに、函館山山麓駐車場の全面改修も検討。現在は、函館山ロープウェイの山麓駅近くにある市の遊休地を無料駐車場として暫定利用しているが、フェンスが腐食するなど景観を損ねていた。未舗装の路面整備なども計画し、駐車場を有料化する可能性もあるという。このほか、継続事業として、函館山遊歩道の整備や観光案内板の多言語化、市道の美装化にも取り組む。
モデル地区の指定を受けて行う「景観まちづくり刷新支援事業」は、3年間で全13件。事業費の2分の1は国から補助を受け、補助金の総額は6~7億円となる見込み。
これまで、JR函館駅と金森赤レンガ倉庫周辺を結ぶ市道中臨港通(通称・開港通り)の歩道拡幅や植栽などが完了。市の重要施策で、デザイン性の高い街並みを整備する「ガーデンシティ函館」の実現へ着実に歩を進める。市政策推進課は「事業を通してまちの魅力を一層高めたい」としている。(山田大輔)