函館市は、JR函館駅構内の観光案内所に非常用電源装置を整備する検討に乗り出した。胆振東部地震に伴う大規模停電で、訪れた観光客に十分な案内業務が継続できなかった教訓を踏まえ、災害時の情報伝達手段を確保する。
市によると、同駅の案内所は、震災があった9月6日が終日停電となった。当日は、交通手段や宿泊可能なホテルなどの情報を求めて訪れた多数の旅行客に対し、パソコンなどが使えず、最新情報や被害状況をスムーズに伝えることができなかったという。応急措置として市の職員が急行し、開設した避難所の情報などを知らせた。
非常用電源装置の規模や価格などの調査のため、市は複数のメーカーに見積もりを依頼。導入には観光庁の補助金を活用する。同庁は、英語対応できる観光案内所などを対象に、災害発生時の外国人旅行者の安全、安心確保を目的とした緊急対策として、自家発電機や蓄電池の整備支援を打ち出しており、経費の半額を国が負担する。
非常用電源を新設した際は、スマートフォンなどの充電場所としての活用も可能となる。ただ、案内所の面積は約70平方メートル程度と手狭なため、市観光企画課は「案内業務に支障をきたさない運用を検討したい」とし、慎重に判断する考え。
導入は来年度になる見通しで、同課は「災害があった際も観光客にリアルタイムの情報を正確に発信できる態勢づくりに努めたい」としている。(山田大輔)