函館市は、ふるさと納税制度の2017年度の収支(寄付の受け入れ額と税収の流出額の差)が4464万2595円の〝黒字〟となったことを明らかにした。前年度7733万6849円だった赤字額が、17年度から返礼品の提供を本格的に始めると寄付獲得額が増大し、赤字を回避。使途の一つに「大間原発の建設凍結」を設けたことも、寄付拡大を大きく後押ししたようだ。
市財務部によると、17年度の市への寄付額は1億6910万411円(4211件)で、前年度比1億5772万411円増(4004件増)と大幅に増えた。これを反映した今年度の個人市民税控除額は、同3574万967円増の1億2445万7816円。制度による赤字を脱し、4464万2595円の黒字になった。
市は、昨年4月から1万円以上の寄付者が返礼品170品目の中から選べるようにし、人気ベスト3は数の子松前漬け(カネニ藤田水産)、レトルトカレーセット(五島軒)、スナッフルスのふるさとギフト(ペイストリースナッフルス)。また、寄付者が指定する使い道の一つに大間原発建設凍結を追加したことで話題を呼んだ。
今年度の寄付状況(15日午前8時現在、入金ベース)は、件数が17年度同日比287件減の860件、金額が同1146万7000円減の2625万6000円。このうち、大間訴訟費用は223件、786万4000円となっており、ほぼ大間が減少分に当たる。時間の経過もあり、前年に殺到した寄付の勢いが鈍った。
ふるさと納税は応援したい自治体に寄付すると返礼品がもらえ、住居地で税控除も受けられる。市の場合、自治体の返礼品競争が過熱し始めた15年度から他自治体への寄付者が増え、住民税控除額が寄付額を上回る「赤字」が膨らんだ。
同部は「寄付のピークは例年12月なので、見通しが立たない。首都圏での新聞広告や返礼品の充実を図るなど見直しを随時行い、寄付獲得に努めたい」としている。(山崎大和)