今冬の記録的な降雪で除排雪作業が進まず、市民から多数の苦情が寄せられたことを受け、函館市は9日に開かれた市議会経済建設常任委員会(小林芳幸委員長)で、除雪体制の見直しに着手する考えを示した。本年度の除雪費は、15日に議会に提出予定の補正予算分も含め総額で10億円規模となることが予想され、過去最高となる見通しだ。
阿部善一委員(民主・市民ネット)らの質問に答えた。市土木部は、雪が降り始めた昨年11月から今月8日までに、除排雪に関して市に寄せられた苦情が1万455件だったと報告。1日当たりで最も多かったのは今月2日の1402件で、1000件を上回ったのは近年ではないという。
阿部氏は、市と契約を結ぶ業者を総動員しても除排雪作業に遅れが生じていることに関し「この冬で函館の機動力の限界がみえた」と指摘。空き家の増加なども道路の除雪が進まない要因だとした上で「従来の考え方を変えなければならない」と迫った。
これに田畑浩文土木部長は、排雪用ダンプの不足を現状の課題として挙げ「新年度の除雪体制や方法を見直したい」と明言。市民協働による除雪の新たな仕組みも模索する考えを示した。
また、阿部氏は通学路の除雪が追い付かなかったことについて「3年前の大雪でも同じことがあったのに教訓が生かされていない。積極的な除排雪を強く要請したい」と改善を求めた。
市は、補正予算に盛り込む追加分の除雪費の金額を調整中。除雪費として計上した当初予算と予備費を合わせた7億円はほぼ使い切り、これまで最高だった2011年度の約8億7700万円を上回るのは確実となっている。
市内の除排雪の状況は、7日時点で幹線道路のほぼ全てと公共施設周辺の住宅道路で約6割が完了。一方で、生活道路約780キロは1回のみの作業で、その後の道路状況の悪化には対応できていないという。
現在は函館建設業協会を通じて作業の応援を求め、数社から協力を得たといい、同部は「今まで以上にスピードを上げ、全力で対処したい」としている。(山田大輔)