道南ドクターヘリの本年度上半期(4~9月)の出動件数は、前年同期比33%増の244件だった。年度全体では450件近くとなる見通しで、認知度向上などにより、2015年の就航以降着実に増加を続ける。今後は、出動要請が重複した際の対応や救急車と落ち合う着陸地点「ランデブーポイント」の一層の確保が課題となりそうだ。
6日に函館市内のホテルで開かれた運航調整委員会(浅井康文委員長)で報告された。1日当たりの出動件数は1・33件で、全体では前年度を50~100件上回る見込み。ヘリの年間最大稼働数について、市立函館病院の武山佳洋救命救急センター長は「全国の事例を参考にすると、500件程度の出動は可能ではないか」とみる。
出動が増えた際に課題となるのが、要請が同時に複数あった時の判断。上半期は重複要請が19件あり、未出動の要因の半分を占めた。ただ、出動件数に対する割合は1割以下にとどまり、同委員会事務局によると、全国との比較では低い水準だという。
要請が重なった際の対応として、現在は原則、先に依頼があった分を受け入れているが、武山センター長は「順番が後でも重篤化が予想される現場を優先するケースが出てくる可能性がある。他の地域でも大きな問題になっており、関係機関には十分な説明が必要だ」と指摘する。
一方、9月時点のランデブーポイント数は299カ所。運航開始当初から13カ所増加したが、除雪体制の整った地点は47カ所にとどまる。函館市や今金町など近く追加登録される4カ所を含め、自治体や関係機関は場所の確保を急ぐ考えだ。
委員会ではこのほか、救急現場近くにヘリが着陸する際の活動規定案を承認。今後は、従来の救急システムとの比較を図るため、ドクターヘリの費用対効果の検証に着手することなどを確認した。(山田大輔)