函館市は、スルメイカの不漁長期化で苦しむ市内のイカ加工業者に対し、中長期的な視点に立った支援を検討していることを明らかにした。具体的には他の魚種に転換した場合の設備投資や、新商品の開発にかかる研究への助成などで、来年度予算の編成もにらんで制度設計を急ぐ。
19日に閉会した定例市議会でも、イカ不漁対策について市の見解を求める質問が出た。今後の漁模様にどこまで期待できるか不透明な部分が多く、市は中長期的なアプローチが必要と判断した。
政府によるイカ輸入枠の拡大や、市が補正した輸入イカの共同調達補助は緊急的な対策で、市経済部は「魚種転換しようとする業者や、IT(情報技術)を活用し生産性を向上しようとする業者に対し、ニーズを聞きながら支援を検討したい」としている。ITを活用した生産性向上は、人手不足に対応したもので、イカ加工業者に限らず他業種にも適用できないか検討を進める。
同部は「今後の漁模様は予想できないため、全く楽観はできない。効果のある対策を早めに講じることが必要」と力を込める。
また、市はイカ不漁の要因として、好漁場である石川県沖の大和堆付近で、日本の排他的経済水域(EEZ)内に中国や北朝鮮の外国船が違法操業を行っていると強調。今年5月に市が国に取り締まりを要請しており、水産庁によると、大和堆では北朝鮮船籍の漁船が6月に800隻、7月中旬に600隻の操業を確認。海上保安庁が7月上旬から8月下旬にかけて拡声器や汽笛による警告や放水により、延べ820隻をEEZ外に退去させたことを明らかにした。(山崎大和)