函館市教委は19日、縄文人の生活の痕跡が残る国の史跡・垣ノ島遺跡(臼尻町、9・3ヘクタール)の保存整備基本設計を決定した。国内最大級の盛り土遺構を復元するほか、展望デッキやトイレ・管理棟、体験広場などを整備する。「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」の一つとして世界遺産登録を目指しており、2019年度末に完成予定。
19日、市南茅部総合センターであった保存整備検討委員会(委員長・小杉康北大大学院教授)の本年度初会合で報告した。今年5月から地形測量や立木調査、地質調査に着手、公開は20年度。工事費は3億5674万円(概算)を見込む。
コの字状で祭りの場である盛り土遺構(長さ190メートル、幅120メートル、高さ2メートル)は、旧地形を復元し客土による遺構の保護と全体の芝張りを行う。竪穴建物群は基本的に現況のままとし、くぼみの周りを散策できる園路を設ける。
展望デッキは国道278号バイパスに隣接し、インフォメーションコーナーを設置。体験広場では、屋根付き体験(倉庫付き)、土器焼き、発掘体験のコーナー、見本園として″縄文の畑〟を整備する。
多目的スペースは市縄文文化交流センターに管理道路で通じており、高齢者や障害者、緊急時の車両乗り入れを可能にする。
この日は現地視察も行い、市教委文化財課は「できるだけ早く公開したい。世界遺産の構成資産の一つであり、規模を体感してほしい」としている。(山崎大和)