フル、ハーフ同時開催2年目となった2日の「2017函館マラソン」(道南陸上競技協会など主催)は、大きなトラブルもなく成功裏に終わった。レース中の最高気温は25・0度を記録し、暑さがランナーを苦しめたが、完走率は91・6%(6963人中6380人)。運営を担うスタッフも総勢2900人に及び、献身的な働きで大会を成功に導いた。
安全対策は万全
昨年の課題点を踏まえ、今年最も重視した安全対策では、走りながら医療支援を行う「ランニングドクター」が所属するNPO法人日本医師ジョガーズ連盟(JMJA)から医師約50人が参加。コース上の固定救護所も7カ所設け、万全の態勢を構築した。
競技中に熱中症、脱水症状、足のけいれんなどを訴え、病院に救急搬送された選手は14人で、これまでの最多だった2013年(ハーフのみ)の9人を上回った。医療救護本部の統括を務めた市立函館病院の武山佳洋救命救急センター長は「選手にはかなり厳しいコンディションで対応案件は多かったが、おおむね適切に対応できたと思う。関係者間の連携もスムーズだった」と振り返る。
荷物置き場で課題
課題として浮かび上がったのが、競技場の荷物置き場での対応。セキュリティー面を考慮し、荷物の引き渡しを対面方式にしたが、順番待ちの列ができたため途中で個人で取りに行く方式に改め、出口でセキュリティーのチェックを強化した。混雑緩和のため来年も自ら荷物を引き取りに行き、出口での防犯対策を強化する方針。
市内では大会開催中、交通規制が敷かれた。道警函館方面本部によると、う回路などで一時的な混雑は見られたが目立った交通の乱れはなかったとし、問い合わせは「渋滞しているかを確認する内容が数件あったが、苦情は確認されていない」(交通課)。
宿泊、飲食業は特需
道外からの参加は4割を占め、昨年に続いて市内の宿泊、飲食業は特需に沸いた。ホテルネッツ函館(本町、202室)はマラソン前日の1日が満室となり、三上博支配人は「前年と同じ2月ごろから予約が入った」と話す。JR函館駅前と本町で居酒屋「いか清」を展開する室田秀文店長は「函館競馬の開催中でもあり、通常の土・日曜と比べると大忙し。予約なしの来店客には対応できない時間帯もあった」とうれしい悲鳴を上げた。
市教委スポーツ振興課は「今年は食べ物が足りないという事象も発生せず、評価は全般的に高かった。アンケート結果をもとに問題点・改善点を検証し、来年はもっと評価される大会にしたい」と意気込む。(山崎大和、半澤孝平、山田大輔)