函館市の工藤寿樹市長は25日、2016年度予算の市長査定を開始した。北海道新幹線開業関連の事業経費をはじめ、新たなまちづくりの取り組み、人口減少や経済対策にも重点的に取り組む。工藤市長は3年連続となる収支均衡予算の実現にも意欲をみせた。
査定開始に当たり、市長は「人口減少が進む中で経済や福祉、教育といったさまざまな課題に対応し、少しでも前進させる予算にする」と述べた。昨年6月の政策予算では、人口減少対策として子育て支援策など福祉面に重点を置いた。新年度は教育分野でも少子化対策や学力向上など、環境充実に努める考え。
北海道新幹線開業年の新年度は、初のフルマラソンや新幹線開業後のメーンイベント「はこだてグルメガーデン」など、開催決定済みの行事も多い。市長は「全国に函館が元気だとい発信するチャンス。観光客に通年で喜んでもらえるイベントを考えているので、予算化したい」と述べた。一方、新たなまちづくりを進める「ポスト新幹線」時代のスタート年として、「ガーデンシティー」実現に向けた街路整備などの関連予算も盛り込まれる。
また、市は昨年度と本年度の2年連続で基金を取り崩さない収支均衡予算を実現したが、14年3月に策定した財政収支の中期的見通しでは、新年度は23億円の財源不足を見込んでいる。昨年10月実施の国勢調査の結果次第で地方交付税の減収も予測されるだけに、市長は「財政は依然として厳しい。新幹線関連のイベント経費は膨らむため新年度は少し大変だが、収支均衡ができるよう編成したい」と述べた。
市長査定は28日まで行われ、2月10日ごろに発表、同26日開会予定の第1回市議会定例会に提出する。(今井正一)