函館市は、男女共同参画に関する市民・事業者意識調査をまとめた。市民意識では「男は仕事、女は家庭」という役割分担について、肯定的意見が26・6%(前回2011年度調査33・9%)、否定的意見が36・2%(同31・8%)で、意識に改善傾向が見られることが分かった。
調査は1996年度から5年ごとに行い、今回で5回目。男女共同参画社会の実現に向け、課題を把握するとともに、17年度に策定する3次計画の基礎資料とするのが狙い。
市民調査は市内在住の20歳以上の男女2000人を対象に、昨年8月1~31日に実施。回収率は38・9%(778人)だった。
男女の地位が家庭生活、職場環境、学校教育、社会活動、制度上、政治の場、社会通念、社会全体の8分野で平等になっているか聞いたところ、平等と回答した割合が最も高かったのは学校教育の65・0%。男女の分け隔てなく教育している現状がうかがえる。ただ、ほかの項目は「男性優遇」と「どちらかと言えば男性」を合わせた″男性優遇〟が「平等」を上回った。
配偶者や恋人からの暴力「DV」(ドメスティック・バイオレンス)を直接経験したことがあると答えた人は女性16・0%、男性8・3%。前回調査では女性15・1%、男性6・6%で男女とも増加しており、女性は約6人に1人が経験している。
セクシャル・ハラスメントを経験したことがある人は女性が前回比4・6ポイント増の18・5%、男性が1・2ポイント増の2・5%。今回初の調査項目として「マタニティ・ハラスメント」を経験した女性は4・6%、「パタニティ・ハラスメント」を経験した男性は0・3%だった。
「ワーク・ライフ・バランス(仕事と家庭の両立)」が実現できていると思う人は女性22・9%、男性20・6%。実現できていない理由として最も多かったのは「職場に人的な余裕がないため」(50・6%)。中小零細企業が多い函館では、人が1人でも抜けると職場が大変な状況になることが分かった。
仕事と家庭に関する考え方で最も多かったのは「家事・育児や地域活動を妻と分かち合い、仕事と家庭を両立させる」(82・4%)で、前回の75・3%を上回った。女性が仕事を持つことに関し「結婚や出産後は仕事を辞め、育児が一段落した後、再び仕事に就くのがよいと思う」が42・9%。前回(45・0%)より下がったものの、「仕事を続けた方がよい」は前回比6・1ポイント増の40・6%となり、仕事の継続へ考え方がシフトしている。
女性が仕事を続けていく上で必要な施策は「育児・介護休暇制度の充実」(51・0%)、「結婚・出産・育児後の再雇用制度」(49・2%)、「保育・介護施設などの整備」(45・2%)の順だった。
事業者調査は、市内に所在する300事業所を対象に昨年8月22日~9月9日に実施、122件(40・7%)から回答を得た。
女性従業員の活用では「性別にかかわらず個人の能力に応じた人員配置を行っている」が59・0%で最も多く、前回(48・0%)より人物重視の傾向が強まった。
市市民部は「全体的に前回調査より改善傾向にあるが、まだ数字自体は高くない。引き続き啓発活動を進め、各部局とも連携し具体的な事業につなげていきたい」としている。(山崎大和)