【奥尻】奥尻町は新年度から創業支援に本腰を入れる。国の補助金を活用し、起業者に対して事業開始資金の4分の3を補助するほか、道南うみ街信用金庫と連携し、低利の貸し付けで円滑な資金調達を支援する計画で、地域の雇用創出と定住促進に結び付けたい考えだ。
政府は昨年、無人島化を防ぎ、領海保全を図る目的で奥尻島を含めた全国8都道県の71島を「特定有人国境離島」に指定。国の新年度予算では、島が所属する自治体向けに新たな交付金が創設され、雇用拡充や航空運賃割引などに充てられる。
町はこの交付金を活用する考えで、事業資金の補助は1件当たり400万円を上限とし、国が半分、町が4分の1を負担。運転資金を融資する同信金奥尻支店は、国から3%分の利子補給を受け、事業者に低利で貸し付けを行うほか、事業計画などをアドバイスする。
また、町は運転資金の融資を受ける際の保証料を1件最大20万円補助する計画で、新年度予算として計360万円の財源を確保。国に創業支援事業計画を提出して、事業者が株式会社として法人化する際の登記費用軽減も図り、年間3件の創業実現を目指す方針だ。
同町は、基幹産業の漁業や観光を中心に産業振興に向けた各種取り組みを展開しているが、近年は漁獲不振などで経済が停滞。直近3年の年間観光入込客は約2万6000人で、ピーク時の半分まで落ち込んだ。
ただ、昨年8月には町出身者がフェリーターミナルにイタリアンレストランを開業するなど、明るい話題も出始めている。町はこうした動きをさらに増やしたい考えで、町地域政策課は「離島ならではの体験型観光コンテンツの提供や地場の農水産物の販売、飲食など地域資源を活用したビジネスモデルの構築を支援したい」としている。(山田大輔)