北海道新幹線H5系車両をイメージした函館市電の超低床電車「らっくる号」(9602号車)の運行が終了した。市企業局交通部の駒場車庫で18日からラッピングをはがす作業が始まり、補修を含めて1週間ほどで元の姿となる。2014年10月から2年以上にわたって開業ムードを盛り上げてきた〝立役者〟に、関係者からねぎらいの声が上がっている。
新幹線カラーの「らっくる号」は、東海道新幹線開業半世紀の節目と重なった同年10月1日、同じH5系カラーを施した函館バスの車両とともに登場。同月は市内で新幹線開業記念キックオフイベント、H5系車両の陸揚げと車両基地への移送作業などが相次ぎ、新幹線ムードが一気に高まった。
市企画部新幹線開業イベントプロジェクトチームは「新幹線開業への期待感が盛り上がってきた時期で、バスと合わせてシンボルとしての役割を果たし、その後はタクシーなどにも新幹線カラーのラッピングが波及した。メディアへの露出機会も多く、市民にも親しんでもらえた」とする。
今年3月末で市の関連予算での広告掲出は終了したが、市企業局が開業後の雰囲気を盛り上げるために運行を継続していた。ただ、ラッピングの汚れや傷みも激しくなっていたため、18日午前の運行が最後となった。
市交通部事業課は「カラーリングを変更したことのない『らっくる号』のラッピングにはインパクトがあった。走行状況の確認の問い合わせも多く、電車ファンにも喜んでもらえた」としている。(今井正一)