【北斗】市は16日、食品・酒類卸の国分北海道(札幌、諏訪勝巳社長)と包括連携協定を結んだ。同社が道内の地方自治体と同協定を結ぶのは初めて。市内の大野農業、函館水産の両高校と産学官連携し、地元食材を活用した新商品の開発や北斗市ブランドの発信が期待される。諏訪社長(54)は「条件さえ整えば、北斗産のワインの販売にも積極的に取り組みたい」と話した。(加納洋人)
市は、2025年度から5年間の「第3期 北斗市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定。その中で民間企業との連携協定を締結して戦略を進めることを掲げており、今年2月から市は同社との本格的な連携協議を進めていた。
この日、市役所本庁舎で、池田達雄市長と諏訪社長が協定書に署名した。主な連携事項は、①特色ある地域商品の発掘・開発・販売②食の魅力を通じた地域の関係人口の増加③産学官連携による新たな特産品の開発と地域の未来を支える人材育成④北斗市ブランドの向上⑤食と観光による新たな事業創造―など。
締結を終えた諏訪社長は「北斗市とのつながりをさらに深め、具体的な取り組みを進める第一歩」とあいさつ。池田市長は「国分北海道の道内初の連携協定で大変名誉なこと。食を通じたアドバイスをいただきたい」と応じた。
連携事項のうち産学官の連携では、23年に同社は函館水産高校と連携し、生徒が考案した道南産ブリを使った缶詰「道南産ブリのフィシュミートソース風」を商品化。現在もJR新函館北斗駅に隣接する市観光交流センター別館「ほっくる」内の酒店「酒舗稲村屋」などで販売しており、第2弾の商品化が期待される。
大野農業高校とは、生徒との連携による地元食材を活用した共同の新商品の開発や、「食品流通」の授業に協力し、同社の食品卸の知見を生かして、若手人材の育成を行うことが検討されている。
また、道南に有名なワイナリーが進出し、世界的に注目が集まっていることから、同社は北斗市産のワインの販売に意欲を見せたほか、ブリやニシンなどの魚介類や地元の農作物を使った新商品の開発、流通に取り組む姿勢を示した。
同社の山下大吾執行役員(50)は「コアの事業は流通だが、北斗市と周辺の食品加工事業者と協力して北斗市の素材を使った加工食品を企画立案、委託製造し、流通させることを市と一緒にやりたい」と話した。